【産業動向】AI向けハイエンドMLCC、26年Q4の「供給不足ショック」に備えを 調査会社が提言
2026-06-22 11:18:39
調査会社TrendForceは2026年6月17日、積層セラミックコンデンサ(MLCC)についての最新レポートを公表した。クラウドサービスプロバイダ(CSP)各社によるAI(人工知能)投資競争が世界で激化しているのを背景に、独自開発ASICアクセラレーター向け小型・高容量・耐高温のハイエンドMLCCの採用が急速に拡大しているとし、これにより、需要構造が少数の最上位品目に急速に集中する一方、サプライヤーの増産ペースの遅れや技術的ハードルにより、2026年下半期にはAI向けハイエンドMLCCが構造的な供給不足に陥る恐れがあるとの見方を示した。
レポートでTrendForceは、次世代AIアクセラレーションプラットフォームの量産最終検証(Final Qualification)フェーズにおいて頻繁な設計変更が行われた結果、ハイエンドMLCCの採用量が大幅に上方修正されたとした。具体的には、米AMDのMI450プラットフォームは、検証期間中にBOM(部品構成表)内のすべてのアルミ電解コンデンサ及びタンタルコンデンサをMLCCに置き換えた結果、「47µF・2.5V・X6S・0402」仕様のMLCC使用数が、基板1枚当たり1440個から1万544個と、約6.3倍に拡大したと指摘。米エヌビディア(NVIDIA)の次世代プラットフォーム「Vera Rubin」においても、「100μF・4V・X6S・0805」仕様MLCCの搭載数が320個から500個へ増加したと紹介した。さらに2026年下半期には、米グーグル(Google)のTPU V8t/i、米アマゾン(Amazon)のTrainium4、米メタ(Meta)のMTIA 400/450といった主要なASICプラットフォームが相次いで量産化されるため、MLCCの需要はまさにピークを迎える見通しだとした。
一方、供給面についてTrendForceは、主要サプライヤー各社がハイエンドMLCC市場への投資を進めているものの、需要増加ペースに対応しきれていない状況が続いていると指摘。村田製作所(Murata Manufacturing)が2025年末に「47μF・2.5V・X6S・0402」及び「100μF・2.5V・X6S・0603」等のハイエンド製品を量産開始、これに続き、韓国サムスン電機(SAMSUNG ELECTRO-MECHANICS)が2026年3月から量産体制を拡大、太陽誘電(Taiyo Yuden)及び京セラ(Kyocera)も同市場へ参入したが、高容量かつ小型サイズMLCCの製造には高度な技術が求められるため、各社とも歩留まり改善が課題になっており、有効生産能力の拡大は限定的だとした。さらに、村田製作所の出雲新工場が本格稼働するのは2027年以降と見込まれており、今回の需要急増局面への即時対応は難しい状況にあるとした。
レポートは、日韓系MLCC主要各社のBBレシオ(受注出荷比率)は2026年4月以降上昇基調を続けており、一部の高容量X6S製品では、納期が従来の約8週間から20週間へと大幅に延長したと指摘。長期供給契約(LTA)を結んでいるCSP大手は比較的安定した供給を確保できる一方、契約未締結のODM(Original Design Manufacturer=設計・製造の受託)業者やシステムメーカーは、スポット(現物)価格の上昇と納期遅延という二重のリスクに直面する可能性が高いとした。また、複数の需要が集中する26年第3四半期末〜同第4四半期初頭には、供給リスクが潜在的なものから実質的な供給不足へ変わることから、ODM業者やシステムメーカーに対し、第3四半期中に戦略的な部材調達を積極的に進めることで、安全在庫の水準を引き上げて第4四半期の供給ショックに備えるべきだと提言した。
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